大志のひとり通勤練習 
   〜社会の一員になるために、過酷な試練を乗り越えるぞ!〜
    6 ひとり通勤練習
 6月18日(土)、いよいよひとりで練習する日が来ました。「今日はお父さん、油川新井田のバス停で待っているから、がんばってひとりで来るんだよ」「はあい」。
 と言いましたが、乗り換えの様子も見ることにしています。そして、ママは家で携帯連絡を受け、非常時にはイマドコサーチで検索します。
 さらに、乗り換えるバス停は?「栄町一丁目です」と確認しました。
 大志は、7:35くらいに張り切って「行ってきまーす」と行っちゃった。
 バスは7:52だよ。張り切ってるねー。でも、ちょっと待てよ、間違ってその前のバスに乗ったらどうする? という不安がよぎりまして、あわててイマドコサーチで検索。どうやらバス停にいました。
 よーし、さあ、それじゃあ、こっちもスタート。まずは、蛍ヶ丘のバス停の横の道路に車を入れて、様子をうかがいます。ときどき大志の独り言が聞こえてきます。バスが停車した気配がして、走り出しました。大志の横顔が見えました。
 次は、一応合浦公園前へ。何しろ練習では合浦公園前で降りていますので、間違って降りることも考えられます。明の星通りから国道に出て左折してくるバスですので、わかります。そのバスからは、誰も降りてきませんでした。
 よーし、次は、栄町一丁目。次のバス停で停車したバスを追い越して、先回り。タケダスポーツの駐車場に車を停めます。
 車から降りて塀越しに様子を見ていると、間もなくバスが来て、大志が降りました。そして、携帯を取り出して連絡しています。 よしよし、いいぞ!
 携帯が終わると、なんと、ゴミを拾い始めました。 やべー!、こっちに来るぞ。
 あわてて車の陰に隠れます。大志が歩くのに合わせて、車の右横から前方へ、さらに左横へと四つん這いで移動しました。思いっきり不審人物。・・・小学校時代にもひとり通学させるため、隠れながら追いかけたのを思い出します。
 そして、大志がゴミを捨てて戻ってくるところで、私はまた車の前方、そして右横へと隠れて移動。どうやら気づかれませんでした。・・・もっとも、本人は「見慣れた車があるなあ」と思っていたかもしれません。ナンバーを記憶していないとも限りません。まあ、ばれたときは、「奇遇だねぇ。お父さんタケダスポーツに買い物に来たらまだ開いてないんだよ。あはは」などと言ってごまかすしかありませんが。
 さて、大志は椅子に座ったり立ってうろうろしたりしておりましたが、「青森駅」行きや「○○病院」行きには、乗ろうとしません。やがて「野木和団地」行きが来ました。立ち上がって、・・・乗りました。
 よーし。ここで、ママに電話連絡。「大志が今、野木和団地行きに乗りました」。そして、次は、油川新井田へ。
 先に着いて15分くらい待ったでしょうか。たぶん、あのバスだな。バスが停まると、大志が降りて来ました。
 「よしよし、よくがんばったねー」と頭をなでます。
 大志はヘヘーんと、どや顔で携帯を取り出し、ママに連絡。
 そして、バス停からT印刷への道がわかることを確認して、反対側のバス停へ。
 「じゃあ、家で待ってるからね」
 青森駅行きのバスはまたも多少遅れて来ました。
 さて、こっちは、青森駅での乗り換えの様子を見に行きます。
 今回もバスが遅れたので、またも9:28には間に合いません。戸山団地行きが来るのを待つと1時間待ちになります。さて、どうなることか。
 大志が降りてくるのが見えました。「今、大志が青森駅に到着しました」とママに実況中継。「おっと、どっちに行ったらいいか迷っているようです。きょろきょろしています」。
「思い出したようです。歩き始めました」・・・「来た来た来た、バス停に向かってきました」・・・「時刻表を見ています。が、平日の方を見ているようです」・・・そういえば、土日は右、平日は左と教えなかったような気がする。
 大志が携帯を取り出しました。おっと、「大志が携帯するから切るよ」。
 間もなく、ママから私の携帯に連絡。「何時のバスに乗りますか、ときいたら10:02のバスですって。小学校の方に曲がるんだ、と言ってたよ」とママ。へーっ、じゃあ昭和大仏行きを選択したのか。なんでも経験させてみるもんですね。
 しばらく大志の様子を見て、いったん車を動かしに行きました。30分以内なら無料ですが、30分を超えるとお金を取られるので。
 さて、10:00。昭和大仏行きが見えたので、ママに実況中継。「昭和大仏行きが来ました。・・・しかし、大志は動きません」乗客が列を作りましたが、大志は並びませんでした。
ママが「大志に電話してみる」ということで、切ります。しかし、大志が電話を取る前にバスは発車してしまいました。
 再びママから私に電話。「10:05だって言ってるよ」「それ、平日の時刻表だ」。
 そして、大志は、時刻表を見たり、次に来たバスを見たりして、おそらくかなり不安だったのではないかと思います。ここまで順調だったのですが、こういう場面になるとは思いませんでした。やっぱり実際にやってみるもんですね。
 ママも私も助けたい気持ちをぐっと押し殺して、10:32まで待つことに決めました。
 そして、私はまたまた車の移動。
 さて、10:30。「戸山団地行きが見えました。大志が立ち上がり、バスの方をじっと見ています」ただ、3番バス停に1本前のバスがいて、なかなか来ません。「今、3番バス停に戸山団地行きが到着しました。そして、大志が乗りました!」 やったー!「本日のミッション完了。家に戻ります」

 家に帰ってきた大志をめちゃめちゃほめたことは言うまでもありません。
 これで本番も大丈夫だろうということで、この稿を終わらせるつもりでいたのですが、そう簡単にはいかなかったので、続きを書くことになりました。




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