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三学期に雪上運動会というのがある。校庭で、歩くスキーのクラス対抗リレーをやるのだ。 大志は歩くスキーが遅くて、大志の番になると、他のチームの5人くらいに抜かれてしまう。 K先生は、大志が早くすべれるようにするにはどうしたらいいかとクラスのみんなに相談した。みんなは活発に意見を出し、二つの作戦が採択された。 その1は先導作戦。早い子が大志の前をすべってリードする。さらに、先導する子の背中にドラえもんの絵をつける。先導役は大志と仲のいいHくんとTくんに決まった。 その2は応援看板作戦。コーンを回ってゴールに向かうときは、みんなに向かってすべることになる。そこで、ゴールでみんながドラえもんの絵を描いた看板を持って応援する。“大志くんがんばれ!”などの応援メッセージも入れて。 Tくんが「大志くん大作戦だね」と笑顔でママに言った。 というわけで、作戦会議で授業をつぶしたうえ、さらに授業をつぶして、段ボールで看板を作成することになった。 大志のために、みんな喜んでドラえもんの絵を描いてくれた。しかも、「いつもはもたもたしてるのに、ずいぶん早くできたなー」と、作業の早さに先生はビックリ。自分たちで決めて目的意識がはっきりしているからモチベーションが高い。中には放課後も残って看板をしあげてくれた子もいた。 “大志くん大作戦”のDデイ。大志のときだけ、折り返しを少し手前に持ってきて距離を短くする(ハンディをもらった)ため、トップバッターになった。 みんな、ドラえもんの看板をかまえ、大志がすべり出すと一斉に「大志くん、がんばれー」と叫ぶ。先導役のふたりも振り向きながら応援。 そのかいもあってか、追い抜かれたのが3人くらいで済んだ。でも、結局チームは最下位。 大志のせいで勝てないとか、大志を外そうという発想が出ないのが不思議だった。先生が日頃から、大志も学級の一員として学級運営をしてくださっていたからだ思う。 |
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