大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第32回 大志は名指揮者

 3年生のときのK先生は、まだ採用3年目の若い男の先生だったが、大志に何か役割を与えようといろいろ考えてくれた。
 子どもたちにファイルを配るとき、「○○くんに持っていって」と大志に持たせて届けさせる。
 また、給食係は、それまでパスだったが、お皿をとってあげる仕事をやらせるとか、できそうなことをやらせてくれた。
 さらに、音楽の時間に、なんと大志を指揮者に指名した。指揮者といっても、CDで曲を流しながら歌うので、もちろん形だけだが。
 大志は、トムとジェリーやミッキーマウスがオーケストラを指揮するイメージが頭にあるので、両手をあげてさっと指揮棒をかまえる。すると、クラスが爆笑。
 さらに、音楽に合わせて指揮棒をふり、1曲目は多少緊張気味だったようだが、2曲目になると目をつぶり陶酔の表情で2拍子だか4拍子だかわからないようなリズムの指揮だったが、みんなそれが面白くて、大きな声で元気に歌ってくれた。ママはおかしくておかしくて、ビデオに取っておきたかった、と。
 先生が3曲で終わりにすると、「先生、もっと歌いてー」とリクエストの声。先生の起用が大当たりで、大志の指揮は、子どもたちの意欲を引き出した。
 それ以来、朝の会の歌も大志が指揮者となった。
 算数の時計を使った授業で、先生が教卓に時計を置くと、大志がさわろうとして出てきたので、「大志くん、○時にして」と、そのまま時計係にしてしまったことも。そうすると、笑う場面も出てくるが、クラスが集中する。
 大志が何かやり出すとクラスが一瞬で集中するので、「ちゃんと先生の話を聞きなさい!」と怒鳴りつける必要がない。
 大志が次に何をやらかすか、というハプニングを期待する目かもしれないし、何かやったらカバーしてあげようという目かもしれない。
 算数の問題の答えを「式5+8+17=30」と大志が読むと、みんなが集中して○つけできた。

 K先生は大志をうまく使ってくれた先生だった。




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