大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第28回 初めての当番

 前に幼稚園時代の「共に育つ」を書いたが、小学校でもやはり「共に育つ」である。

 大志に初めて当番がまわってきた。当番は、隣の席の子と二人で、朝の会の司会や授業の号令などの係。大志と組むのはA子ちゃん。
 A子ちゃんは、「大志くんは当番の仕事ができないだろうから、ひとりでやるしかない」と思って、当番のセリフをメモして三日前から練習したそうだ。「おとなしい子だと思っていたのに、こんなにがんばる子だったなんて!」とA子ちゃんのお母さんが驚いていたそうだ。
 当番は朝の会でみんなの前に出て司会をするのだが、大志は前に出なかったので、A子ちゃんが一人で司会をやった。帰りの会では、何度か促すと大志も前に出た。ただ立っているだけだったが。それでも、A子ちゃんは「大志くんも前に出てきてくれたのでうれしかった」。
 当番をさぼったのが大志でなかったら、「ちゃんとやんなさいよ!」と言いたくなるところなんでしょうが、不思議な現象です。
 2回めのときから、ママが当番のセリフのカードを持たせて、大志もそれを見ながらちゃんと言えるようになった。

 また、学校探検というのがあり、大志はTくんと組んで校内を歩くことになった。Tくんは、ふだんちょっとはめをはずしがちな子で、先生の手がかかる子。入学式のときも大志より目立っていたくらい。
 そのTくん、大志がいなくならないように、しっかり手をつないで、悪ふざけなしの真剣な表情だったとか。
 また、クラスの子どもたちはどちらかというと、大志のめんどうみたがる(やってあげようとする)子が多い中、Tくんは「大志くんが自分でできることは、自分でやらせなくちゃだめなんだよ!」と言ったことがある。
 そう、何でもやってあげていたら、何もできない人になってしまう。それは教育でも福祉でもない。
 …それにしても、障害者福祉のあり方の核心をつく考え方が子どもたちの中から出てくるとは。




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