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入学してまもなく参観日があった。紙を切ったり貼ったりして自分の顔を作る、という授業だった。このときの大志の席は前から2番目だったので、後ろからは大志の机の上はよく見えない。 大志は横を見たり後ろを見たり、時に奇声を出したりして、担任のE先生の話を聞いているようには見えなかった。「はさみを出して」と言われてもできない。副担のK先生が横について補助してくれていたが、紙を切るのもただ適当にやっているようだ。 作業が進んできたところで、大志が「かおかお」と言ったので、顔を作っているんだということはわかったらしい。 E先生が、自分が作った顔を「お母さんに見せてくださーい」と言うと、子どもたちが一斉に振り向いて得意気に自分の作品を掲げたが、たいしは前を向いたまま。しょうがないよなー、と思いつつもちょっとさびしい。もっとも作品もまともにできてないしね。 片づけの場面になって、大志の机の上に散乱した紙をK先生がまるめた。全部ゴミになっちゃったかー… 授業参観のあとの学年集会で、お母さん方に大志のことをお話しすることになっていた。ママと二人で教室の前に立ち、大志が自閉症であるためにパニックを起こしたり、子どもたちとトラブルがあるかも知れないことを、あらかじめ理解してくださるようお願いした。ちょうど、その4月から、藤井フミヤ主演と、ともさかりえ主演の自閉症のテレビドラマが2本始まったところだったので、説明に入りやすかったように思う。お母さん方は、しーんとしてうなずきながら聞いてくださった。 そのあと、「返事をしないで机に伏せているクラスの子がいるので、なんとかしたいと、うちの子が言ってます」というお母さんがいた。大志のことだ。 解散になったあと、K先生が「ここまでやりましたよ」と、大志が作った顔を見せてくれた。なんと大志はちゃんと作っていた。「白目を切るのと鼻をつけるのは私がやりましたが、あとは全部自分で作りました」。 おみやげをたくさんもらった参観日でした。 |
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