大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第25回 クラスの子どもたち

 入学式をなんとか乗り切ると、ママと大志の通学が始まった。
 ママの席は大志の隣に用意していただいたので、「鉛筆を出して」とか「教科書を机にしまって」など、先生がクラス全体に出した指示をママが大志に中継する。ときに、副担のK先生も関わってくださる。
 はじめは、「どうして大志くんだけお母さんがいるの?」と不思議がる子どもたちも、ママが子どもたちのいいところをほめてあげたりしているうちに慣れてきた。普通に話ができず行動の予想ができない大志に興味を持って近寄ってくる子も出てきた。子どもたちは、「大志くんはどうしてお話できないの?」と質問する。ママは、「自閉症っていう病気があってねー、…」と説明してあげた。
 帰り道は同じ方向の子どもたちが、大志をとりまいてぞろぞろと一緒に帰るようになった。
 その中から、「大志くんのお母さん、今日遊びに行ってもいい?」と言い出す子がいて、家にも5、6人が遊びに来るようになった。
 ママは「すっかり近所か地域のおばちゃんになった」。
 大志は、ママがついていたので、授業中に立ち歩くことは少なかった。大志がついていけそうにない授業のときは、お絵かきをさせたりしていた。当時はプーさんやドラえもんなどを描くのが好きだった。前の席の子が「おめえ、またプーかいてんのか」とのぞきこむ。そのほか、ママはトレーシングペーパーを用意して、大志の好きな絵本の機関車をなぞらせたりした。お絵かきはその後、ディズニー映画のオープニング画面などを描写するようになった。Walt Disneyと白抜き文字で描き、背景にシンデレラ城を描いた。大志が初めて書いた文字はたぶん白抜きだったと思う。
 授業中の奇声は止められなかった。最初の家庭訪問で、先生から「授業中の奇声はなんとかなりませんか」と言われたが、どうにも対処できなかった。しかし、いつの間にか大志が奇声を出しても無視して授業が進められるようになっていったようだ。大志のブツブツは教室のBGMとなり、子どもたちは、気にしないでくれるようになった。




トップページへ戻る次へ


@nifty ID:CQS02257