大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第12回 ガラスを割った

 幼稚園に通うのに、母子分離が最初のハードルとなった。
 それまでY園は母子通園なので、母親から離れてひとりになったことがない。そして、普段の移動はほとんど車で、バスも乗ったことがない。
 ということで、最初は、ママがバス往復と幼稚園で一日大志と行動を共にする。次に、一緒に幼稚園バスに乗って通園し、ママだけ路線バスで帰る。慣れてきたら、大志だけバスに乗せる、という段階を踏むことが幼稚園との相談で決まった。
 入園して10日目が第2段階の開始予定日だった。この日に事件が発生した。
 ママは、今日から中に入らない、ということで、幼稚園の玄関の外でストップ。すると、一緒に入ってこないのに気づいた大志がかんしゃくを起こし、玄関の扉に頭突きしてガラスを割ってしまったのだ。
 謝りに行き弁償したが、大志にケガがなかったこともさることながら、ママがいないことでかんしゃくを起こした、というのはある意味うれしいことでもあった。自閉症を持つ子は、母親を含めて人に対する関心が薄いのだ。ほんとうにママにいてほしいという気持ちが出たのなら、大きな成長と言える。しかし、いるはずの人がいないというかんしゃくだったとすれば、自閉症のこだわりの特性である。どっちだったのか、今では定かでない。
 今にして思えば、大志にママの動きが伝わっていなかったことがガラスを割ることになった原因かもしれない。
 第3段階はさらに5日後。過去に同じように母親から離れてバスに乗った子がパニックになったことがあったそうで、園長先生がかなり心配していらっしゃった。
 実行の日。大志だけ幼稚園バスに乗ると、ママと私はアクシデントに備え、車で幼稚園バスを追走。
 走り出してまもなく、園長先生がバスの後ろの窓から両手で大きな丸を作って合図してくださった。どうやらいつものように座って、何事もないようだ。
 その後も異変はなく、幼稚園にたどりつき、翌日からはひとりで通園することができた。




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