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当時はY園通園が1年以上経っても、それほど変化がないような気がしていた。今記録を見返すと、ろうそくの火を吹き消せるようになったとか、出かけるとき「おそと」と言ったとか、「靴を脱いで」と言われなくても自分で脱ぐようになったとか、けっこう成長があったように思われるが、いつになったらこの子はコミュニケーションとしてのことばを使えるようになるの?というように考えていたと思う。 ママが、Y園の先輩お母さんから「幼稚園に入れるんなら、1年より2年保育の方がいいわよ」という話を聞いてきて、「来年幼稚園に入れてみたい」と言いだした。 しかし、受け入れてくれる幼稚園があるのか?でも、何もしないであきらめたら、あとで後悔するかもしれない。 実際のところ、今のままでいいのか?この子が小さいうちに他にやれることはないのか?という思いはあったので、幼稚園への4歳児入園を考えることに。 F幼稚園が障害児の受け入れに伝統があるということがわかり、相談してみたところ、園長先生は「入園前でも試し入園してみましょう、ちょくちょく遊びにいらっしゃい」と言ってくださった。 それで月に何度か、ママが大志を連れて行くことになった。 私も一度一緒に行ってみたときのこと。大志が教室のうしろの棚に上がっているものにさわったら、「いたずらしちゃだめだよ!」と子ども数人に囲まれた。すると、すかさず両手を広げて彼らと大志の間に割って入り、「そんなふうに言っちゃだめだ!」とかばってくれる子が現れた。まだ、3歳か4歳の子だ。そうか、これが障害児が教室に一緒にいるということなんだ!ととても感動したことを覚えている。 そして、翌年の4月に幼稚園に入園した。 幼稚園はバスの送迎があったので、軌道にのれば、ママはバス停までの送迎だけすればよい。 Y園もやめたわけではなく、週2回の個別指導を午後に受けることにして、その日は、ママが車で大志を幼稚園に迎えに行って、Y園に連れて行くことになった。 |
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