大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第6回 初めてのことばは?

 就学指導を受けたり、愛護手帳を更新するための検査を受けたりすると、「初めて言ったことばは何ですか?」と聞かれる。しかし、いつもはっきりした答えができない。
 返事するようになったのは、わりに早かったと思うが、それもいつの間にかできなくなっていた。ブツブツひとりで言っているのは、意味不明のことば(単なる声?)。「日本語を覚える前に韓国語を覚えちゃったよ」という話は一度書いたが、宇宙語と言っている親もいるらしい。
 あるとき、「おーとーさーん」と言いながら私に向かって走ってきた!?と思ったことがある。しかし、抱きとめようと両手を前に出した私の横をすーっと走り抜けていった…
 あれはなんだったのだろう?

 私の記録で最初に出てくることばは「たすけて」。例えば、公園に連れて行くと、いちばんはまるのは水ポチャだが、すべり台、砂場、ブランコなど、延々と遊んでいる。「そろそろおうちに帰ろう」と言っても、通じない。「おとうさん、先に帰るよ」と、帰るそぶりをしてもおかまいなし。一度、ほんとうに帰ったふりをして、隠れて様子を見ていたことがあるが、1時間経っても気づいてもらえず、根負けして顔を出してしまった。
 そして、「もう帰る時間だよ」と、だっこして強引に連れて帰ろうとすると「たすけてー、たすけてー」と、身をよじらせながら叫ぶ。
 コンビニに行ったときなどもそう。ゲームソフトのPR画面などにはまって、帰ろうとしない。強制収容しようとすると「たすけてー!」。人さらいと間違われないかと冷や冷やしたものだった。

 3歳になると、外出のことを「おそと」、手をひっぱりながら「いこう」、ごはんを食べて「おいしい」などのことばが出た記録があるが、それらが継続的に使われたような記憶がない。
 私とママは、今日は、このことばが言えた、へーすごいすごい、と喜んでいた。ほとんどはまだまだ宇宙語だったが。




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