大志とともに  −自閉症子育て日記−
    第3回 Y園のスカウト
 小児科医から、ことば数が増えないことを指摘されたものの、私もママも「そのうちしゃべるようになるだろう」と、わりとのんきにかまえていた。
 ママが大志を連れて保健センターに相談に行くと、“あそびのひろば”という行事への参加を勧められた。Y園という児童施設主催の、ことば数の増えない子どもやうまく遊べない子どもが集まる行事であった。休みの日だったので、私もいっしょに出かけた。
 場所は市の福祉センターで、子どもたちがたくさん集まっていた。大志は自分のお気に入りのおもちゃを見つけて遊び始める。子どもたちに集合がかかっても、大志はひとりでおもちゃで遊んでいる。大志に指示に従うように促すと、大声を出していやがる。指導員の方が「無理に集まらなくてもいいんですよ」と言ってくれたが、ほんとにそれでいいのだろうか…
 このころすでに大志は、自閉症を持つ子どもがよくやる“並べる遊び”も始めていた。ミニカーがたくさんあるのを見つけると、ひたすら並べた。他の子が1コ取ろうとすると、大志はすかさず取り返した。「大志くん、貸してあげなよ」と言ったって、通じない。
 そういう息子の様子を見ていたY園の職員の方から「お父さんお母さん、ちょっとお話が」と、別室へ連れて行かれた。そして、「ちょっとお子さんの様子が他の子と違うようだから、うちの施設に通わせてみたら?」というような趣旨の話を聞かされたのだった。
 「他の子と違う…」
 多少のショックはあったが、「やっぱり」という思いもあった。でも、「じゃあ、いったい何?」
 「障害」とか「自閉症」ということばはまだ聞かされておらず、何をどう考えていいのかわからない。
 「おたくのお子さんには障害がありますよ」と突然言ったら、普通の親は怒ったり落ち込んだりするから、告知については、専門家も慎重になる。
 子どもの集まりに参加させて様子を見ながら誘いをかけるのは上手なやり方だと思う。今にして思えば、どうやらその網にかかったものらしい。
 のちに、ママはこのときY園のS先生に“スカウトされた”と言った。




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