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◆「いくよ!」 5月の、運動会の前のこと。 障害児仲間の集まりで、トランポリンをやっています。金曜日は、学校から帰ってきたたいしを、ママがトランポリンに連れていきます。 そのトランポリンの待ち時間に、たいしが小学生とキャッチボールをはじめました。でも、コミュニケーションがないために、うまくいかない。ママが、たいしに「いくよ」と言わせるようにしたら、うまくいくようになったとのことでした。 ◆内角の和は? 6月のこと。 数学で、図形の勉強をしています。多角形の内角の和を求めるのを学習しまして、三角形の和は何度? …180°。四角形は?補助線(対角線)を引いて180°×2=360°。 さて、五角形の内角の和は何度でしょう? 連絡帳と一緒に入ってきたプリントには、「大志くんが自分で補助線を引きました」とコメントの付箋がついており、180°+360°=540°とあったので、ちょっとびっくりでした。 先生からもう少し詳しくうかがったところ、最初は分度器で測ろうとしていたそうで、先生が「角度を測らなくても三角形や四角形を五角形の中に作っていくと簡単に答えが出せるよ」とアドバイスしたところ、大志が補助線を引いた、ということでした。 ヒントをきいて、四角形のとき補助線を引いたのを応用できたんですね。補助線をひけたのもすごいなと思いましたが、分度器を使うことでわかるだろうと、自分なりに考えられたのもすごいと思いました。 その翌日、八角形の内角の和を出す問題になりました。補助線の引き方がなかなかわからなかったようで、対角線全部に引いたら、三角形が8個できてしまい、180°×8=1440°になり、失敗。 「大きい三角形や四角形で考えようね」との先生のアドバイスで、補助線を2本引くと四角形が3つできました。360°×3=1080°。正解! 大志は図形の勉強が好きになったようです。 ◆垂直線はコンパスだ! 図形の授業が続いています。今度は、平行線と垂直線の作図。 定規1枚で見当をつけて平行線を引こうとしても簡単にできるものではありません。それでも8本目に引いた線が偶然にも平行になりました。 そこで、先生が三角定規2枚を使う方法を教えたところ、あっという間に平行線。大志は感動していたそうです。 さらに翌日は、垂直線。まずは、見当をつけて垂直線を引こうとしたら、2回目でできたようです。 そして、先生がコンパスを使って、元の線の上下に2点をとってその点と点を結ぶ方法を教えました。分度器で測ってみるとズバリ90°。大志は「マジックだ!!手品だ!!」と感動の声。 何度かコンパスを使った作図をし、もう一度コンパスなしでやってみたらうまくいきません。「やっぱり垂直はコンパスだな」と、大志が言ったそうです。 連絡帳にはさまっていた作図のペーパーにも「コンパスを使わないで垂直を作ったらずれちゃった。」「垂直を作るのにはやっぱりコンパスだ。」と書いてありました。 大志が図形の授業に興味を持って取り組めるのは、視覚に強い自閉症の特性も関係があるのかもしれません。 ◆ぼく、勇敢でした ※ ママのレポート ◇先生は、技能主事(用務員)さんの仕事を、大志に取材させてまとめさせ、その仕事の1つを大志に実体験させる授業をしてくださいました。 技能主事さんの仕事は、窓みがきや玄関、プール、職員トイレのそうじ、蛍光灯の取り替え、職員室のゴミ集め、扉などの修理の他に外勤(市教委へ文書を持参して学校あての文書を持ち帰る)などがあることがわかると、大志は「用務員さんの仕事はたくさんあるな」とつぶやいたそうです。 大志が選んだ仕事は、教室の蛍光灯の取り替えでした。用務員さんは、はずした蛍光灯を持ったまま片手で新しい蛍光灯取り付けたのですが、マネしようとしてもその技は大志にはムリ。はずした蛍光灯は先生に持ってもらって、ようやく作業終了でした。 技能主事の仕事をまとめた「働く人の生活を知ろう」というプリントの感想欄には、「ぼく、勇敢でした」と書いていました。 はじめて上った高い脚立、こわいけどがんばって作業をやりとげ、達成感を味わうことができたようです。 先生の授業は、大志の将来の生活や仕事にも通じるものがあり、生きてゆく力の基礎となる体験ができたと思います。 |
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お仕事を取材して・・・ ぼくもやるぞ! |
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