た い し ダ ヨ リ ー  ★中学生編★
    第257号 小学校でまいた種



◆小学校でまいた種

 前号からの続きです。

 音楽のあと次の国語の時間まで、先生からいいお話をききました。

 文化祭の「かたくりの花」の練習のときのこと。
 「たいしくんは、始めから通しだとちゃんとやれますけど、練習でやり直しがかかって、“どの場面から”と言われてもわからないので、それを始める場所に行けなかったですね。で、どこへ行けばいいの?と私の方を何度も見るんですよ。でも、わざと知らないふりしていたら、たいしくんのそばに配置になる子どもたちが、たいしくんを連れにくるんですね。
 それから、一度外で練習したときですけど、風が強くて寒かったし、たいしくんも体調が悪かったときで、たいしくんに練習を続けるか教室に戻るかきいたら、『キョウシツニモドリマス』と言うので、そーっと列から外れてぬけたんです。そのあと練習を再開したら、たいしくんのそばの生徒たちが、『たいしいねえぞ』『たいしどこ行った』ってちょっと混乱があったんです。その場は説明して終わりましたが、生徒たちが気にかけてくれているっていうのがわかりました」
ということでした。
 小学校の3年間普通学級にいたときにまいた種が生きているようです。あの種は、かたくりの花の種だったのかな?・・・


◆国語は辞書をひきながら

 そして、次の時間は国語。たいしは、隣の教室から五味太郎の「言葉図鑑」の絵本を持ってきました。「たいしくん、今日は1冊でいいんですか?」と先生。すると、教室のうしろから辞書を持ってきました。さあ、どんな授業になるんでしょう。先生は、英語と国語をたいしに教えてくださっている、みむら先生です。
 本は、「言葉図鑑」の「かざることば」、つまり形容詞。まずは、ひととおり読みましょう。「おだやかな医者」「あてずっぽうの医者」「たしかな医者」「ぶっきらぼうな医者」「ようきな医者」等々。たいしは「オダヤカナッテナニ?」と言いながら辞書を引きます。そして、たいしが辞書の説明文を読むと、先生がコメントする、という展開で45分。たいしは辞書を引くのを全然大儀がりません。ゲームでもやっているような調子でめくっています。ただ、辞書の説明を読んでも、ほんとにそれで意味がわかったの?というようなのもありました。本人はそれで満足して次に進もうとしているようでもあります。

 辞書が授業に導入されたのは、「○○ッテナニ?」というたいしの質問攻めをうまく利用してのことだったようで、たいしは気に入ってやっています。

 以上、参観日レポートでした。


◆勝つためのコツは?

 大志は情緒障害学級ですが、知的障害学級と一緒にすごろくゲームをやったそうです。先生2人、生徒は大志をふくめて4人の計6人。その様子を連絡帳から引用します。

「大志くんはスタート直後 6の目が出るまで進めないところにはまってしまい、そのうちに他の人が全員ゴール付近まで進んでしまいました。 そこで あせった大志くん さいころを振るとき あるわざを使いました。 6の目を上にして静かに 振らずにテーブルに置きました。 6の目を大志くんが出したのですね。 大志くん次から順調に進んでいました。大志くん 3位くらいでゴールでした。
 私から「勝つこつは?」と聞かれ、大志くん何と「ずるをつかうことです」と笑いながら発言。みんなもそれを許す楽しい雰囲気でした。」

 たいしが、ルールを理解しながらゲームをしていることや負けたくないと思ったこと、勝つためにはどうすればいいかを考えたことなどがわかります。ただ、人目は気にしてないようですね、自閉症ですから。そして最後はしっかりオチをつけてくれる、正直なたいしです。


◆ピアノのひきがたり

 たいしは、ここしばらくインターネットで、“星のカービィ”という数年前のテレビアニメの絵描き歌にはまっています。♪基本はマル、マ・ル マルかいて、マ・ル〜というような歌です。

 さて、その日は、ママたちが企画した、自閉症児親の会のりんご狩りがありました。ママがたいしを連れて参加しました。りんご狩りは、ひとり3個までなので、あっという間。
 そのあとの昼食会でのこと。そこは、親の会がたびたび利用しているレストランなので、店の方も理解があるお店です(実は私はまだ行ったことがありません)。食事が終わると、オーナーがピアノで伴奏するから、みんなで歌いましょう、ということになりました。そして、森のクマさんなどをみんなで歌いました。
 そして、「何か歌いたい歌のリクエストがある人〜?」とオーナーが言ったら、たいしがママに「ホシノカービイノエカキウタ」と何度もくり返したそうです。「じゃあ、“歌ってもいいですか”ってみんなに聞いてごらん」とママ。
 たいしは「ホシノカービイノエカキウタヲウタッテモイイデスカ」と誰にともなく立ち上がって言いました。
 オーナーがOKしてくれて、たいしはピアノの前に行き、メロディーをつっかえつっかえ指一本でひきながら1曲歌い、得意顔。オーナーとみんなの拍手。「たいしくんっておもしろいねー」と誰かのママ。うちのママは、「この積極性はどこからくるんだろう」と、顔から汗が出たとか。





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