た い し ダ ヨ リ ー  ★5年生編★
    第212号 たいし危機一髪

◆朝 起きたとたん「エイガニイクゾ」

 春休みの初日は土曜日。たいしが朝7時過ぎに起きると「30プンダ」と言ったのは、ウルトラマンを見ようと思っているんだな、と思っていました。前の日に、ウルトラマンのビデオ(たいしが興味を示すかなーと思って何年も前に私がダビングしたもの)を引っ張り出してきて見ていたので。
 ところが、そそくさと着替えするとジャンバーも着て、「レーシングストライプスヲミニイクゾ」と私の手をつかんできた。なんと! そういうことは朝言いだしてもだめだよ。まだ朝ごはん食べてないでしょ。ごはんの支度もできてないよ。

 「レーシングストライプスの映画は何時からですか?」と試しにきいてみると、「ハチジデス」 おっ、すかさず答えが帰ってきたけど、ほんとかな?でも、どっちにしても、間に合いません。「じゃあ、2回めの上映を見に行こう。まず、ごはんを食べます」「ハァイ、ワカリマシタ」。
 それから、いつものようにインターネットで上映時間を調べようとしましたが、接続が不調で、目的のサイトが画面に出ません。そこで、「たいしくん、おじいちゃんから新聞の夕刊(映画欄がある)を借りておいで」。たいしは「エイガノシンブンヲカシテクダサイ」と言いながら階段を降りて行きましたが、なぜか手ぶらで戻ってきました。「あれ?新聞は?」「シンブンダ」と、また行きましたが、また空戻り。三度目にやっと持ってきました。
 ということで、確認すると10:45から。ミューが10時までに行くところがあったので、一緒に車で送ることにして、余裕を見て9:20の出発にしました。

 そして、急な予定を入れられるのは困るので、カレンダーに書かせます。「たいしくん、レーシングストライプスをカレンダーに書いてください」「ハァイ」「今日は何日?」 ちゃんと、26日のところにレーシングストライプスと書きました。たいしにしてみれば、前に意思表示しているので、約束したつもりもあったのかもしれませんが、カレンダーに書くことで予定が決まることにしましょう。
 それから、「ちゃんと自分でお金を用意してください」映画代800円とプラレールディーゼルを買うための2,000円、合わせて2,800円を貯金箱から出させて、財布に入れさせました。

 映画館には、お子様連れが何組か入ってましたが、幼稚園から小学校低学年という感じでした。
 たいしは、相変わらずスクリーンに出た文字を読みたがりまして、今回は多少人がいた(それでもガラガラなんですが)せいか、映画の音が静かになると、ちょっと気になった感じでした。後半飽きてきたのか、立ちそうになったり、横にからだを倒してみたり、という動きがありましたが、そういうのは暗くて目立たないのが映画館のいいところですね (^^ゞ 明るいところだと、小さい子の中にひとりだけいる大きい子がいちばんだらしなく見える、という感じになるかも。 ・・・なんて、そんなこと考えてたら、たいしの親は務まりませんな、ギャハハハ・・・。


◆虫歯はありません

 「青森県自閉症支援研究会」というのが1年前に設立されて、3か月に1回くらいのペースで講座が開かれています。私とママも毎回出席して勉強させていただいておりますが、そこで自閉症に理解のある歯医者さんと知り合いました。そこで、ママがたいしをその歯医者さんに連れて行ってみることにしました。
 ここ数年、たいしには虫歯はできていませんが、かつて診察台の上で暴れないようにネットでグルグルまきにされて、泣き叫びながら治療を受けたこともあった(ママ曰く「抜け出そうと力をふりしぼって、首と顔の毛細血管が切れて小さな斑点がたくさんできた」)ので、定期的に安心して通える歯医者さんを確保しておきたいという、ママの作戦(ママ曰く「思い」)です。
 ところが、たいしを誘おうとしたらテレビのマンガにはまっています。ママが交渉すると「テレビガオワッテカラデモイイ?」と、たいし。30分もあれば終わるだろうと1階でくつろいでいたママ、新聞で確認したら、なんと3時間番組で、終わるのが昼の12時だと気づいた。冗談じゃない、午後は別の予定があるんだから。
 様子を見に階段を上がると、たいしは既にテレビを離れてパソコン中でした。「歯医者さんに行くよ」となんとか交渉成立、車に乗せました。
 歯医者さんは名前を見ただけで思い出してくれたようで、笑顔で迎えてくれましたが、たいしに会うのは初めて。たいしの方も別の歯医者でネットでしばられたのを思い出したのか、緊張が表情にでます。
 診察台に上がったたいしは、「グルグルシナイ?」が第一声。ネットでグルグルしないのがわかると、両手を頭の後ろにやって仰向け、リラックスムード。人の心配をよそに、最近態度がでかい。まあ、本人は歯が痛いわけでもないし、今日はみてもらうだけと伝えていたので、余裕があるのかも。
 診察の結果、虫歯はありません。もう何年もたいしが自分で歯磨きしてますが、ちゃんと磨けているということですね(ママ曰く「歯のよごれが赤く染まる液体歯磨きを使ったのがよかった」)。定期的に点検してもらうことにして終わりました。

 さて、ママがたいしにごほうびをたずねると、なんと、「テレビノツヅキガミタイ」。そりゃ、無理ですわー、そのうちツタヤでさがしましょ。


◆たいし危機一髪

 仕事から帰った私が、ビールの一杯目を口にしたとたん、「クロヒゲキキイッパツヲヤルゾ」と、たいしが声をかけてきました。「パパはこれからご飯食べるところだから、1回だけならいいよ」と立ち上がろうとすると、たいしは「ブスッ」と自分で自分のお腹に指を突き刺して「ドッカーン」とジャンプしました。そして、すたすたと退場。 あっははは、それは“たいし危機一髪”だよ。

 ゲームに誘いにきたのではなくて、自演するのを見せにきただけでした。

 5年生編はこれで終わりです。
 この1年で、会話らしいやりとりがずいぶん増えました。また、周りが見えてきて、今までよくわかっていなかったルールがわかるようになってきたことで、パニックもほとんどなくなってきたようです。
 また、親の方にも変化がありました。自閉症支援研究会に参加することで、福祉施設の関係者と知り合いになりました。私はその研究会の会報も編集しました。ママは青森市の自閉症児の親の会の行事の運営にも参画するようになりました。
 そしてこの3月に、八戸市のNPO法人「夢」でAAPEPの検査を受けたのは、今までのたいしの成長のひとつの区切りになったように思います。たいしが、いろんなことができるようになっていたことがわかりました。でも、それは卒業ではなく、新しいスタートなのです(とクギをさされてきました)。
 4月から、つばめ学級にも新入生が入り2人学級になります。今度はどんなドラマが待っているんでしょうか。
 昨春、「光とともに」のドラマがヒットしましたが、「たいしとともに」は、まだまだ続きます。



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