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◆奇声を手でおさえる
2つ目の発表になると、さすがに集中力がきれたのか、しきりに口をおさえたり、首をふったりしています。でも、立ち上がったりはしません。2つ目の発表の最後に聞いていた子が意見や感想を言う場面で、首を縦に振りながら「ヤゥヤゥヤゥ・・・」と息吸い声で奇声を上げてしまいました。隣に座った友だちが、たいしの肩や顔にさわりながら、やめるように促すと、たいしは自分の手で口をおさえてやめました。その後も口をおさえたまま、自分が声を出さないようにと意識しているように見えました。
さて、このへんでちょっとミューに様子も見に行きましょう。確かミューは窓側の一番前・・・と、前の入口から教室をのぞき込みましたが、見あたりません。後ろ入口から見たら、廊下からすぐそこの一番後ろの席にいました。
小学校時代の思い出と中学生に向けての抱負をひとりずつ発表する、という授業のようでした。ミューは何を言うのかな、と期待しましたが、ママがこそっとミューに話をすると、なんと、もうミューの番は終わってました。しまった!先にこっちにくればよかった。ミューさんごめん。で、後で家で「なんて発表したの?」ときいても「忘れた」とそっけないミューでした。
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◆ハッピョウヲシマス
さて、いよいよたいしの発表です。女の子が「私たちは八戸市のことを調べました。最初にたいしくんが発表します」 ・・・ ほら、たいし、がんばれ!
「コレカラボクガシラベタ・・・」
なかがわ先生が「もっと大きい声で」。
「コレカラボクガシラベタハチノヘシノハッピョウヲシマス」
そして、指示棒をピシッと資料にあて、「ボクノオトウサンワハチノヘシデウマレマシタ。・・・」という調子で立派に発表してくれました。ときどきつかえる場面はありましたし、ぎこちないところももちろんありましたけど、十分立派です。100点満点。
「ハッピョウヲオワリマス」とおじぎすると、子どもたちやお母さん方から拍手喝采。
〔発表の全文〕
これから、ぼくが調べた八戸市を発表します。
ぼくのおとうさんは、八戸市で生まれました。
おじいちゃんとおばあちゃんは、多賀台団地に住んでいます。
八戸市のことを知るために電話でいろいろきこうと・・・思いました。
質問1 八戸市は、雪が青森市よりつもりますか(小声)
つもらないそうです。
質問2 八戸の有名なおかしとみやげものはなんですか。
つるこまんじゅうとやわたうま、と教えてくれました。
これからもおばあちゃんにいろいろきこうと思いました。
これでぼくが調べた八戸市の発表を・・・終わりま~す。(おじぎ)
ママの話では、ウンウンとうなずきながらたいしの発表を聞いているお母さんが何人かいたようです。そして、終わった後、「たいしくん、ずいぶん成長しましたねー」と声をかけてくれたお母さんもいました。
さらに、4年生全体で感想や意見を言う場面があり、「たいしくんの発表が、声が大きくてとてもよかったと思います」と言ってくれた女の子もいました。
たいしをあたたかく受け入れてくださるみなさんに感謝しています。
先生の話では、自分の生活に関することを発表するのであればたいしも自分の言葉で言えるだろうと思い、この機会をとらえたということです。前の日の練習ではセリフを紙に書いて読ませたそうですが、本番は紙なし。よくできました。
つばめ教室に戻ると、たいしは大声でブツブツ言いながら、うろうろしながら帰りの支度。教室に戻ってきて解放感にひたっているようでした。
いいもの見せてもらったよ、たいしくん。仕事のストレスもふっとんじゃった。さあ、パパもお仕事がんばるぞ。 ・・・ということで、私はまた職場に戻りました。
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