全国のたいしファンに贈る!たいしの魅力満載!
た い し ダ ヨ リ ー  ★4年生編★
    第163号 ちょきんおねがいします 


ドーナツは
ナイフとフォークで
食べるんだもんねー

◆ちょきんおねがいします

 おじいちゃんとおばあちゃんが来る前に、「フォークを6本用意してください」とママが言うと、引き出しをかきまわしてフォークを6本取り出しました。そのままテーブルにガシャッとおいたので、「たいしくん、くばって」と私が言ったら、まず横に積んであったお皿を席に配り、そしてフォークをのせました。 ちゃんとお手伝いできるんだねー。10歳の誕生日は全然違ってますね。
 ろうそくも自分でケーキに立てます。3本立てたところで、ミューが横から手を出して、さっさと立てようとしました。「ミューちゃんに取られちゃったー」と私が言ったら、「ナニスンダー」とたいし。10本目のろうそくが「オレチャッター」。ママが別のを出してあげましたが、折れたろうそくを離さず、「オレチャッター」を連発。この辺はやっぱり自閉症児らしいところか。
 時計を見たたいしが「シチジハンヲスギマシタ」 あ、そうだね、そろそろ始めようね。
 ろうそくに火をつけると、たいしはぱっと立ち上がり、部屋の電気を消すのに走りまわり始めました。隣の部屋もテレビも廊下の電気も・・・とばたばたして、戻ってきたところで、♪ハッピバースデーツーユー・・・。たいしくん、お誕生日おめでとう!
 たいしは、フーッとろうそくを消すと、すぐに電気をつけました。「たいしくん、何歳?」すかさず「10サイデス」。さすが10歳の誕生日は違う。
 そこで、ママがたいしの作品を披露。その日、たいしが書いた絵日記です。ゲームキューブやマリオカートなどのゲームソフトの絵を描いてます。

だい:ちょきんおねがいします
 さんすうのきょうかしょ
 ドリルだけのマリオ
 ぼくだってぼきんおねがいします
(余白に)たんじょう日でもない日のパーティーだよ〜ん

 さんすうとドリルは冬休みの宿題のことでしょうか。たんじょう日でない日のパーティーは、“ふしぎの国のアリス”で、なんでもない日(つまり毎日)のパーティーをやる場面の影響でしょう。ちょきん(ぼきん)は、実は、ゲームキューブはお手伝いしてお小遣いを貯めて自分で買いなさいというママの方針で貯金箱にお金を貯め始めたんです。

 おじいちゃんが、「ようし、募金してあげるよ」と、小銭をかき集めて持ってきました。「たいしくん、いくらありますか」「5800エン」 それはゲームソフトの値段だよ。
 これはいくら?と5百円玉を指さすと「ゴヒャクエン」。これは?と百円玉5個を指さすと「ゴヒャクエン」。じゃ、あわせていくら?「5800エン」・・・
 なんとか全部数えさせようとしたんですが、5800円から抜けられませんでした。ゲームソフトが1つ欲しいという意思表示なんでしょうか?この辺も自閉症児らしいところ。 でも、5800円のゲーム買っても、ゲームキューブ本体がないと遊べないんだなー。
 貯金箱に入れさせたお金は1800円ちょっとでした。ゲームキューブへの道はまだまだ遠いねー、がんばって。
 チキンとポテトを食べたところで、いよいよケーキだよ。「たいしはどこ食べる?」とママがきくと、指で上半分を示しました。ママは、たいしの示したとおりケーキの半分をたいしのお皿に乗せてあげたけど、結局食べませんでした。おなかいっぱいになっちゃったかな? ケーキがそれだけあれば、2〜3日は、誕生日を楽しめそうだね。


◆シチジハンダ!イソゲ!

 夜、寝るのが遅くなってきたために、朝起きれないたいし。やっと布団から出ても、居間のソファーやクッションで、またごろごろします。
 でも、テレビを見ながらゆったりとごはんを食べていたたいしが、7時半になると、「シチジハンダ!イソゲ!」と言いながら学校に行く準備を始めます。この行動は二学期の後半から出てきたようです。
 さあ、ランドセルを背負って階段を降りようとすると、「プールのバッグは?」(温水プールなので、冬でも泳げるんです)とママ。「コッチダ」とたいし。
 「えーっ、下にはないでしょ。どこにあるの?」「ツクエダ」「机はこっちでしょ」と、たいしも自分の机まで戻らせましたが、ありません。「どこに置いたの?さがして」とママ。「ガッコウ」とたいし。
 結局、ママも学校に持って行ったのを思い出しました。最初の「コッチダ」は、これから行く「学校」にあるよ、という意味だったんでしょうか。たいしの記憶の方が正しいようです。(自閉症児をこのように混乱に陥れようとするのは、まずいことなので、真似しないようにしましょう)


◆パパの足がつった

 たいしを寝かせようとしてもなかなか寝ないので、私が先にふとんに入ると、たいしが遊びにきます。で、ママのふとんに寝てしまう日が続いています(ママは隣の部屋のたいしのふとんに寝ています)。
 その日、私が寝たふとんに乗っかってきたたいしを足ではさんで相手していたら、左足がつってしまいました。「いててて・・・」。つま先を立てアキレス腱を伸ばそうと力を入れるんですが、なかなか治りません。
 横に立ったたいしが「ダイジョウブ?」と声を発しました。
 「たいし、ここ押して」と左ひざを指さすと、押してくれました。でも、そんな力じゃだめ。「もっと力入れて!」
 そして、たいしが、私のひざに置いた両手にギューッと体重をかけるように押すと、やっとかかとがつきました。
 「あー、助かった。ありがとう、たいし。たいしはおとうさんの恩人だよ」
 たいしは何がなんだかわけがわからなかったでしょうが、ともかく指示通りに動いてくれたたいしのおかげで助かったのでした。



↑次回はこれ




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